- Visual Studio 6.0 (1998/09/04)
- Access のバグ情報(1998/09/06)
- Windows 98 へ移行するべきか(1998/09/10)
- VB6 の注意事項(1998/09/11)
- VC6 の注意事項(1998/09/12)
- WinGroove 問題(1998/09/13)
- シェアウェアを考える(1998/09/14)
- WinGroove 問題の真相(1998/09/15)
- Jet 3.5 のアップデート(1998/09/15)
- Office 97 SR2(1998/09/18)
- 中途半端なシェアウェア(1998/09/19)
- NT5.0 の出荷早まる?(1998/09/23)
- DB2 が Linux をサポート(1998/09/25)
- Intel と Netscape が Linux に投資(1998/09/28)
Visual Studio 6.0 (1998/09/04)
バージョンアップの案内がきました。バージョンアップ料金が高い!!109,800円也。10,000円のキャッシュバックサービスがあるようですが、それでも 99,800円です。なんかうんざりです。
セット内容は、Visual InterDev 6.0, Visual Basic 6.0, Visual C++ 6.0, Visual J++ 6.0, Visual SourceSafe 6.0, WindowsNT4.0 Option Pack, SQL Server 6.5 Developer Edition, SNA Server 4.0 Developer Edition, Visual Modeler 2.0, Visual Database Tools, Visual Componet Manager, Microsoft Repository 2.0, Visual Studio Analyzer と、送られてきた封筒の裏に書かれてます。まず、この間違いを指摘しましょう。Visual Componet Manager は Visual Component Manager の間違いではないでしょうか。自社製品名の誤植を見逃すところがMSたる所以ですなあ。(笑)それと、なんかいっぱい入ってるように書かれてますけど、少々誇張(水増し)しているきらいはありますね。(嘘を書いてるわけではないのですが)
中に入っていた正式なパンフレットによると、Enterprise Edition のパッケージ内容はこのようになってます。Visual Basic, Visual C++, Visual InterDev, Visual J++, Visual SourceSafe, Internet Explorer, MSDNライブラリ Visual Studio 6.0, Windows NT 4.0 Option Pack, Microsoft SQL Server 6.5, Microsoft SNA Server 4.0 です。つまり、封筒の裏には、付属機能をわざわざ、別製品のように書き並べている部分があるということです。
今回のバージョンアップで追加されたのは、SNA Server ですね。SQL Server 7.0 は間に合わず 6.5 のままです。その他は、Visual Studio 97 や NT4.0 Option Pack で提供されてきたソフトウェアのバージョンアップです。(中にはバージョンアップしてないものもあるでしょう)
高額なバージョンアップ料金に躊躇してしまいますね。ちなみに前回の Visual Studio 97 へのバージョンアップは 60,900円でした。たった1年前ですよ!!60,900円も結構なお値段ですが、持ってなかった開発ツール(Visual J++やVisual InterDev, SQL Server等)がいっしょになってましたので割安感があったんです。MSの商売っていつもこうなんですよね。最初のうちは安く囲っておいて、シェアを獲得したらとんでもないバージョンアップ料金でぼろ儲けするんです。Office もそうでしたよね。Office 95 の時は、乗り換え版なんかで安くばらまいておいて、Office 97 へのバージョンアップでぼろ儲けしました。しかも、とんでもないバグ付き欠陥品というおまけ付きでした。
どうしましょう。このバージョンアップ。急がないとは言え、申し込み期限が今年いっぱいまでです。結局、買うことになるんでしょうか。。。
Access のバグ情報(1998/09/06)
MS の Knowledge Base でやっと見つけました。Q191883 の Article ID です。Access 2.0,7.0,97 を対象に書かれています。Jet の問題と認めているわけですから、VB 関連の情報があるのかと思いましたが見つけることはできませんでした。それと、バグと正式に認めているわけではないようですね。「こういう問題が発生するので、このように回避しなさい」という警告です。よってバグ対応ということはやらない雰囲気です。
Windows 98 へ移行するべきか(1998/09/10)
なんやかや言って Windows 98 を使いつづけてます。NTへ戻りたい気持ちはやまやまなんですが、OSの再インストールって力いりますからね。
さて、Windows 98 を実際に1ヶ月程使いましたので、その経験を踏まえて Windows 95 から 98 へ移行すべきなのか?を再び考えてみたいと思います。「何が変わったのか?」という内容は他のメディアにまかせます。実際に使ってみて便利だと感じた点や、よくないと感じた点を、私の実感として書いてみたいと思います。<良いと思った点>
- ACPIACPI は Windows 98 では隠し機能に近い存在です。マザーボードや周辺機器が対応していないと、まともに動かないと思います。たまたま私の環境では大きな問題もなく機能しているようです。電源ボタンでシャットダウンできるところが気に入ってます。良いというよりも気に入ったというレベルですね。
- ユーザーレベルのアクセス制御95 では、「ユーザーレベルのアクセス制御」で共有設定すると、NTからアクセスできない問題がありました。98 になってやっと解消されました。この問題は 95 で長い間放置され続けてきたものです。
- Microsoft システム情報これは Windows 98 で新たに提供されたツールです。Office とかについているものとは違います。問題のあるデバイスが一目でわかることと、「ツール」メニューにぶら下がっているメンテナンス用のプログラム類が便利です。ツールの中でも注目したのが「システムファイルチェッカー」です。これは、更新、追加された DLL,VXD 類を追跡してくれるツールです。Windows は、いつの間にかシステムファイルが入れ替わってしまい動作が不安定になることが多々あります。このツールを使えば解決の糸口を見つけることができるでしょう。でも、常時監視して追跡してくれるものじゃありません。実行すると以前のログとの比較をして差分を表示するだけです。サードパーティー製品には、常駐して監視してくれるものがありますから、それと比較すると機能的にはお粗末です。標準でこういったツールが準備されたことが 95 に比べて前進だと言えますね。元々、こういった監視をしないと使えないという設計上の問題は無視するとしてですが。(笑)
<悪いと思った点>
- 安定度Windows 98 は Windows 95 のバージョンアップなので安定度は増しているはずです。しかし、この安定度を享受できるのは、最新のマザーボードと、素直な周辺機器を備えたマシンだけでしょう。マザーボードによっては BIOS のアップデートが必要になるものがあります。また、ビデオカードやネットワークカード等の周辺機器によっては相性が悪いものがあります。来年あたり発売されるプリインストールマシンだと検証もしっかりされていて安心かも。
- 速度デフラグすればアプリケーションの起動は若干速くなりますけど、このデフラグに時間がかかります。数秒のために何時間もデフラグするのは勘弁してくれです。
- 新しいメモリ管理悪いと言うよりも体感できるようなものではありません。ページングのバグFIXもされていますから安定度には貢献しているのでしょう。大体的に宣伝してますが、当たり前ののことをできるようになっただけ。
- ノートパソコンは注意ノートは自前の電源管理を持っているために、Windows 98 にすると問題が発生するケースがあります。
メーカー製の Windows 95 プリインストールマシンを使っている場合、Windows 98 へ移行するとメーカー保証が受けられません。メーカーが保証しているのは購入初期状態のマシンだけなのです。Windows 98 を導入して動かなくなった場合、メーカー側は保証する義務がないと考えています。ただ、これではあまりにもなんで、わかる範囲での対応はしてくれると思いますけどね。ですから、95 である程度使えている場合は、無理に 98 へ移行する必然性はないと思います。95 が安定しないから 98 へ移行しようと思うのもちょっと待ったです。98 に移行すれば安定度が増すとは限りません。どうせ新たな問題が出てくるのです。マシンはもとより、現在使っているソフトウェアは 95 で検証されて出荷されたものです。98 にしたがために問題が出るリスクのほうが大きいのです。
リスクは承知で Windows 98 へ移行したい場合は情報収集を怠ってはなりません。まず、マザーボードの BIOS バージョンアップが必要なのかどうか。次に、周辺機器の Windows 98 への対応状況です。各メーカーのホームページでは Windows 98 対応状況が掲載されています。もし、そういう情報が掲載されていない場合は要注意です。もう一度考え直したほうがよいでしょう。
私のお勧めは、前にも述べましたが、来年あたりに発売される Windows 98 プリインストールマシンを購入することです。古いマシンで Windows 95 リテール版を使っている方は、早く 98 に移行したいと考えるかもしれません。しかし、ここが我慢のしどころです。現状の Windows 98 プリインストールマシンは、元々 Windows 95 を載せていたのを OS だけ入れ替えたものが多いです。まだまだトラブル事例も集まってませんし、Windows 98 自身もサービスパック待ちですしね。もう少し落ち着くまで待ったほうが得策だということです。比較的新しいマシンで Windows 95 OSR 2.1-2.5 を使っている人は、特に 98 を導入する理由はないと思うのですが、トラブル覚悟で導入するのもかまわないと思います。しかし、トラブルは困る初心者の場合、そのまま使いつづけて下さい。次のマシン買い替えで Windows 98 にすればよいでしょう。間違っても、雑誌を信用したり、中途半端な中級ユーザーにけしかけられて導入することのないように。。。
VB6 の注意事項(1998/09/11)
新バージョンの発売を控えて、早速、注意事項が掲載されました。気をつけないといけない点を抜粋します。
- 参照設定がおかしくなることがある上位バージョンのモジュールへの変換を失敗したり、旧バージョンのままの参照が継続したままになったりするそうです。何故そうなるのか?どういう場合にそうなるのか?という記述はありません。参照設定が外れるのなら、プロジェクト読み込み時にエラーとなるでしょう。旧バージョンのまま生きていなら、エラーにはならないでしょうから、別の開発環境に持っていっておかしいことに気づくってことになるのでしょうか。
- ActiveX コントロールの読み込みに失敗することがあるMSChart と DBGrid はなくなります。これらを使っている場合はアウトです。救済措置は、VB6 では動作保証しない旧バージョンを CD-ROM からインストールすることです。ちなみに、VB4 に遡ってサポートされないコントロールは以下のとおり。クリスタル レポート Crystl32.ocx Crystal Report Control 4.6アニメーション ボタン Anibtn32.ocx Desaware Animated Button Controlゲージ Gauge32.ocx MicroHelp Gauge Controlキー ステータス Keysta32.ocx MicroHelp KeyState Controlチャート Mschart.ocx Microsoft Chart Control 6.0DB グリッド Dbgrid32.ocx Microsoft Data Bound Grid Control 5.0 (SP3)グリッド Grid32.ocx Microsoft Grid Controlアウトライン Msoutl32.ocx Microsoft Outline Controlスピン ボタン Spin32.ocx Outrider SpinButton Controlグラフ Graph32.ocx Pinnacle-BPS Graph Control3D チェック ボックス Threed32.ocx Sheridan 3D Controls3D コマンド ボタン Threed32.ocx Sheridan 3D Controls3D フレーム Threed32.ocx Sheridan 3D Controls3D オプション ボタン Threed32.ocx Sheridan 3D Controls3D パネル Threed32.ocx Sheridan 3D Controls3D グループ プッシュボタン Threed32.ocx Sheridan 3D Controls
- コモンコントロールのアップグレードコモンコントロールは、VB5 のものも正式に提供されるようです。同時に VB6 の新しいコモンコントロールも提供されるとのこと。プロジェクト読み込み時に、アップグレードが可能な旨の通知がされるそうですが、OKを押しても自動的にアップグレードされるわけではないようです。VB5 で使ってたものが正式にサポートされているわけですから無理やりアップグレードする必要はないかもしれません。
- 前バージョンとの共存これは、できないと考えたほうがよいでしょう。DLL,OCX を上書きしますからね。マシンごとに別環境を構築することが必要ですね。VB4 からのバックログを抱えているところは、VB4,VB5,VB6 の3台のマシンが必要です。VB2, VB4 16bit まで抱えていると 5台いるんですね。私の場合、3台必要だな。マシンはいくらあっても足りないわけですね。
VB4 から 5 への移行は、SP3 が出た頃からでしたので、VB6 も SP3 が出るまでは慌てる必要ないかもしれませんね。(笑) MS の製品は、バージョン3になるまで待て!とよく言われたものですが、最近は SP3 が出るまで待て!と言うべきなのかもしれないです。
VC6 の注意事項(1998/09/12)
こちらの注意事項は、前バージョンとの共存はできないということです。デバッグバージョンの DLL が置き換わるからですね。旧バージョンのバックログを抱えているところは、それぞれについてマシンを用意しなければなりません。
WinGroove 問題(1998/09/13)
WinGroove の特定のバージョン(v0.9Fβ1からv0.9Fβ6)で、不正に流通しているID、パスワードを用いて登録すると、HDDの内容を消去するという問題が発生しました。作者のサイトでも案内が掲示されています。
この問題の真相は何なんでしょう。「制作者による配布上の問題により、シェアウェア版WinGrooveの下記バージョンに、特定の不正ユーザーIDと特定の不正パスワードを入力して実行した場合、ハードディスク内のデータを消去してしまう事が確認されました。」という表現があること。市販パッケージ版はそういう問題が発生しないこと。バージョンが確実に特定されていること。などから考えると、故意にそういうコードが仕組まれたと考えるのが自然じゃないかと思います。
WinGroove はパッケージとしても売られている商品なので、明らかに商業ベースのシェアウェアと言えます。一方、シェアウェアには、利益追求ではなくて、レジスト料は謝礼であるという位置付けのものも存在します。謝礼とは、作者の開発環境整備やサポートのコストに対する補助的な金銭であるという意味です。WinGroove は利益追求が目的(非難しているわけではありません)なので、不正利用者が増加することは死活問題なんですね。
今回のケースは、不正利用者に対する怒りがつのった結果、暴走してしまったのかもしれません。ベータ版に仕組んだあたりが「なんだかな?」という感じです。作者には、同情する反面、少々やりすぎたなと思います。こういう方法をとるぐらいなら、最初から堂々と「不正利用をした場合はHDDを消去します。」と、警告して配布したらよかったんじゃないでしょうか。そうすれば、違う意味で話題になっただろうし、全面的に不正利用者と戦う姿勢を示せたと思うのです。
シェアウェアを考える(1998/09/14)
昔(と話を始めるのはもうオジさん)、草の根ネットが盛んだった頃のお話です。当時は NEC PC-9801 と MS-DOS が全盛でした。(各社AXパソコンや SHARP X68000、後に富士通 FM TOWNS も頑張ってました)通信ソフトは WTERM、モデムは、1200bps から 2400bps が主流でして、画面上に受信文字が流れるのが見えてました。各草の根ネットの、ダウンロードシステムには、たくさんのフリーウェアが登録されていました。一部にはシェアウェアもありましたが、数はしれたものでした。Windows 95 からパソコンを使うようになった人達は、あまり知らない時代じゃないかと思います。
私自身もフリーウェア(当時はPDSと呼んでました)を作成しては公開していました。そんなに有用なものは作れませんでしたけど、作る側と使う側の両方の立場でフリーウェアの文化というものを肌身で感じてきた人間です。現在は、シェアウェアというものが社会的にも認知され、また、オンライン送金システムが広まったこともあり、多くのシェアウェアが登場しています。中には、どうしようもないソフトがシェアウェアになってて「おいおい」と思うこともあります。まあ、こういうソフトウェアにはレジストする必要はありませんので、これも、シェアウェアという形態の有効性を逆に示していることになるでしょう。
私は基本的にシェアウェアを歓迎する立場です。が、最近のシェアウェアの乱立状態にもちょっと嫌気がさしています。全てがそうではないんですが、試用期間の制限がきついものは使う気にならないですね。なんか、いかにも「金を払え」と強要されているように感じて嫌なんです。私の感覚ではシェアウェアの基本は、「作者への謝礼」という意味合いが大きいのです。少なくとも個人が作成しているシェアウェアは「謝礼」というレベルのものであって欲しいと思ってます。一方、ソフトハウスが流通形態のひとつとしてシェアウェア化している商品には、こういう感覚はありません。市販パッケージを買いにいく手間が省けるし、試用までできるのであれば嬉しいシステムです。じゃあ、個人とソフトハウスの線はどこで引かれるんだ!という突っ込みをされると非常に苦しいのですけどね。個人でシェアウェアを作ったところ、大好評を博して商業ベースに移行した成功例がありますからね。ただ、それを夢見てお金に執着する姿(ソフト)を見ることが精神的に苦痛なのかもしれません。
フリーウェアがいいんだとか、GNU を見習えとか言うつもりはありません。そりゃ、有用なソフトは、無料で共有できることに越したことはないと思ってます。でも、商業ベースに犯されつづけたパソコン文化には、そういう土壌は根付きにくかったのでしょう。現在、唯一フリーウェアの文化を引き継いでいるのはアーカイバ系のソフトウェアですね。これだけは、今後ともフリーであり続けて欲しいと願っています。
WinGroove 問題の真相(1998/09/15)
作者より今回の件について発表がありました。「WinGroove問題についての作者からの説明とお詫び」
作者の説明には「わかりました」というしかないですね。「試験のために組み込んだHDD消去機能が残ってしまっていた」とのことです。作者は「消去機能を組込んだソフトの極めて強い機能を見て、作者としては、社会的合意が形成されていない段階で、WinGrooveにこのような機能を組込んで配付することは不可能であるという結論に達し~」云々と言っていますが、素人じゃあるまいし、こういった機能は検証するまでもなく結果は目に見えていることです。
社会的には作者のプログラマとしての資質が疑われますね。どんな職業にも倫理観というものが存在します。医者は自らの技術をもって人を殺してはなりませんし、警察官は守るべき市民を傷つけてはなりません。やってはならないことってあると思うのです。作者の最後の言葉が皮肉です。
~シェアウエアのパスワードの不正公開問題、それに対するシェアウエア作家の取りえる措置等、シェアウエアの健全な発展のための議論につながることを祈願しております。~
この件で、シェアウェアの健全な発展は後退したのではないでしょうか。「だから危ないんだよな。オンラインソフトって。」という声が、あちこちで聞こえてきそうです。
Jet 3.5 のアップデート(1998/09/15)
どうやら Jet 3.5 のアップデートが出ているようですね。例のバグはこっそり直されているようです。まだ、正式なものじゃないようです。MSは一応直す気があるという情報です。
Office 97 SR2(1998/09/18)
Jet のバグは Office 97 SR2 で直るようです。公式な発表がありました。ただ、Office 97 に関してだけなので注意が必要です。Jet 3.5 より前のバージョンについてはどうなるんでしょうね。また、既に SR2 の導入を ZDNet は禁止したようで、何か問題をはらんでいる気配が感じられます。
中途半端なシェアウェア(1998/09/19)
WinGroove問題は、私にとってショックな出来事でしたので、ここ数日あちこちから情報を集めていました。その中でわかったことや驚いたことを述べてみたいと思います。
クラッカーとのあくなき戦い 最近は「シェアウェア作家」という言葉があるそうですね。この作家達が集う場所で常に話題になっているのが、パスワードをハックされないための対策と、クラッカーや不正利用者の情報交換です。WinGroove の作者自身はこういった対策に非常に熱心でして、実名入りの不正利用者リストを公表したこともあります。また、今回問題となったHDD消去構想については1997年2月時点で語っておられます。ただ、さすがにHDD消去はやりすぎだろうということで、不正利用者の場合は、作者への自動メール送信機能をつけようという構想を抱いたようです。しかも、これら機能をDLL化して作者で共有しようという提案がなされています。私から見れば眉をひそめたくなるような発想です。勝手に人様のコンピュータを操作して個人情報を送信するなど考えられないことです。
不毛な議論
「悪を撲滅してシェアウェアを守ろうではないか!!」という正義感なんでしょうか、あるいは「不正利用者のために収入が減ったんだ。制裁じゃ!!」という怒りなのでしょうか、色々なアイデアや提案がなされています。しかし、歴史が証明しているように、いくら巧妙にプロテクトかけてもイタチゴッコだと思います。いい加減なところで手をうって、そういうエネルギーをソフト開発に注力したほうが良いんじゃないかと思います。作者の中には不正利用のために送金率が低いと勘違いしている方がいらっしゃいますけど、私はそうじゃないと思います。プロテクトには関係なく、登録する人はする、しない人はしないときっぱりと分かれる。それだけです。
信頼関係の大切さ
シェアウェア作家達は、ユーザーとの信頼関係を大切にするべきです。「お金を払ったユーザーは大切にするさ」という声が聞こえそうですが、果たしてそういうものでしょうか。市場の信頼を勝ち取るとは、そういうものじゃないと思います。たとえ不正使用防止という錦の旗を掲げても、高圧的な態度は自らの市場を狭める結果となると思います。そういう対策を議論しつづける自称「シェアウェア作家」には幻滅します。私自身、市販パッケージソフトの開発に携わった経験がありますが、シェアウェア作家の議論とはスタンスが違いました。そこには、たとえ不正利用者も潜在的なお客だと捕らえる度量がありましたし、把握できない不正利用者への対策よりも、新規ユーザーの開拓や既存ユーザーとの信頼関係が大切だという認識がありました。
中途半端なシェアウェア
今回、色々と情報を集めていて感じたのは、シェアウェアというものが中途半端な存在だということです。商品になりきれない商品とでも言いましょうかね。私自身、以前書きましたようにシェアウェアへのレジストは「謝礼」だという位置付けをしていました。いや、そうあって欲しいという願いがありました。しかし、多くの作者が商品と考えているわけですから、作者と私の意識にはギャップがあるわけですね。かと言って「本当に商品だと考えてるのか?」という疑問も拭い切れないのです。商品としての流通形態を考えるなら、シェアウェアという選択肢がベストであるとは思えないのです。配布形態を考えると明らかにリスクが大きすぎますよね。市販パッケージだと流通経路の確保など、なかなか難しいことはわかります。でも、オンラインで試用版を配って正式版はFDで発送するという形態もとれるわけですからね。この形態であれば、クラックとかウィルス問題も発生しないでしょうに。
私は、シェアウェアの健全な発展を願いつつも過度な期待はしないことにしました。それよりも、フリーウェア文化を守る人達を応援したいです。人間、金がからむとロクなことがないように思えてきました。
NT5.0 の出荷早まる?(1998/09/23)
NT5.0 は 2000年には間に合わないだろうという予想が大半だったのですが、MS内部から、来年の第1四半期には出荷できる可能性を示唆した発言が飛び出したようですね。
Win98 へのアップグレードをスキップした理由に「NT5.0 を待つ」と言っていた人には朗報かもしれません。ただ心配なのは、大方の予想を裏切って出荷時期が早まった理由です。もし、今まで順調に開発が進んでいたのなら「出荷が遅れる」という予想は出てこなかったと思うのです。つい最近まで「NT5.0 開発チームは死の行軍」とまで言われてましたからね。こういう悲観的な見方の中で出てきた今回の発言の真意は何なのか?私は、MSが過去に何度も使った「市場の注目をひきつけておいて他のプラットフォームに乗り換えようと考えているユーザーを囲う」手法だと解釈しています。最近にわかに注目をあびてきた Linux はMSにとって十分脅威となりうるOSです。導入、運用コストは、Linux のほうが圧倒的に有利ですし、信頼性においても NT など足元にも及びません。Linux をサポートする商用DBも出てきましたので、クライアントに Windows を導入したとしても、サーバーには Linux を入れることも十分検討に値するはずです。こういう状況を敏感に感じとったMSは、とりあえず「もうすぐ出荷しますよ」とアナウンスしておいて、実際には遅れる、あるいは、実際に出荷するけれども完成度の低いまま投入する、といういつもの手を使おうとしているのだと思います。(あくまでも推測ですが)
Linux はもとより他の商用UNIXも、今の時期を逃さずに攻勢をかければMSの土台を揺るがすことは可能なはずです。まともな企業は、元々NT なんぞは使ってないのですから、ターゲットは中小企業や個人ユーザーです。とりあえず、中小企業のサーバーとして、Windows 95/98 をクライアントとする構成を想定した、安価で導入が容易なサーバー製品を売りこんではどうでしょうか。最終目標は、UNIX陣営で Office に対抗するアプリケーションを揃えて、Windows 95/98 を X端末化してしまうこと。これでMSはOSから撤退です。その時は、Microsoft Office 2010 for UNIX という製品を出しているかもしれませんよ。
DB2 が Linux をサポート(1998/09/25)
IBM DB2 が Linux を年内にサポートするとの発表がありました。Oracle, Infomix, InterBase それに、今回のDB2 が加わり面白くなってきました。IBM が参入するというインパクトは非常に大きいと思います。IBMの顧客は、Linux+DB2 という選択でサポートを受けることができるわけですからね。
後はフリーの Linux と商業ベースとの折り合いがうまくいくことを願うだけですね。商標問題や標準化問題で、既にあちこちで軋轢が生まれているようですけど、うまく解決してくれればと思います。
Intel と Netscape が Linux に投資(1998/09/28)
Linux に出資とはどういう意味なんだろう?と記事を読むと、どうやら Red Hat Software へ投資することが決まったということらしいです。Red Hat Software は Linux のディストリビューターのひとつです。Linux はフリーなんですけど、これをダウンロードするにはちょっと大きすぎます。そこで CD-ROM で提供すると同時にサポートも提供するという商売を始めたんですね。日本では Turbo Linux というパシフィック・ハイテックが出しているものが人気が集めているようです。日本人にとって、Linux がいかに優秀なOSでも、日本語が扱えないことには導入する気になれないところです。この点 Turbo Linux は日本語フォントや日本語入力環境が備えられていますので、インストールと環境構築の敷居が低くなったということらしいです。
さて、Intel にとっては、自社のCPU上にどんなOSが載ろうとかまわないわけですから Windows に固執する必要はありません。次期 Merced では、NT,HP-UX とともに Linux もサポートしたいとのことのようです。Netscape は Windows ブラウザ戦争で痛い目にあったわけですから、Linux に期待するのは当然というところでしょうか。ブラウザはもとよりサーバー分野でも Linux をサポートするのかな?
話を戻して今回の投資の件ですが、Linux は一企業が製品化しているOSじゃありません。ですから、本来ならば、投資する先(会社)が存在しません。今回の Red Hat Software への投資は、他のディストリビューターから反発を買うかもしれないですね。Red Hat 版 Linux に、ある意味でお墨付きを与えることになるわけですからね。
私も遅れ馳せながら、Linux を入れてみようと考えてます。自分のマシンにインストールできるのかどうか不安で二の足を踏んでいる状態なんですが、こればっかりはやってみないとわかりませんものね。NT Server は仕事上残しておかないといけませんので、とりあえず、サブマシンに Linux を入れてみようと思ってます。