Windows 10 Fall Creators Update の Hyper-V で生まれた「既定のスイッチ」

  Microsoft から Windows 10 Fall Creators Update の配信が始まりました。特に何も考えずに Update をしたところトラブルに見舞われてしまいました。問題が発生したのは開発用メインノートパソコンである TOSHIBA Dynabook RZ83/CB の HYPER-V です。

 最初に気づいたのがインターネットアクセスの不調です。ブラウザを立ち上げると、msn や Yahoo! を表示することができません。名前解決はしているようなのですがページを表示することができないのです。ところが不思議なのは Twitter や Facebook は速度が遅いもののなんとか表示することができるのです。とりあえずネットワークが不調なので「ネットワーク接続」を確認したところ見慣れないものを見つけました。

アップデートによって「既定のスイッチ」という仮想スイッチが勝手に作成されたようです。さっそく「Hyper-V マネージャー」の「仮想スイッチマネージャー」を確認してみると確かに「既定のスイッチ」というものが作成されていました。

しかも邪悪なのは、「削除(R)」ボタンが使用可能になっているのに削除できないのです。また、この vEthernet(既定のスイッチ) なるものは、既にIPアドレスが自動で設定されていて、DHCP有効になっているのにDHCPからアドレスが設定されるわけでもなく、挙げ句の果てに「識別されていないネットワーク」となっているという不思議な存在になってしまっています。

 どうすればよいのかわからないまま、Hyper-V の機能を削除、再設定を行ったり、LANケーブルの抜き差しや、WiFi 接続での実行など色々と試しているうちにいくつかのことがわかってきました。

  1. インターネット接続が不調になるのは LANポートを利用した場合で、WiFi 接続の場合は問題ない。
  2. LANポートを利用した場合でもローカルネットワークへの接続は問題ない。
  3. LANポートを利用した場合でも Hyper-V のゲストOSからのインターネット接続は問題ない。
  4. Hyper-V の機能を削除した状態では、LANポート、WiFi ともに問題なくインターネット接続できる。

 そもそもアップデート前の仮想スイッチをどのように作成していたかを説明しますと以下のとおりです。

vEthernet(Hyper-V Virtual Switch) → 物理LANポート(Intel Ethernet Connection I219-V) 
vEthernet(Hyper-V Wireless Virtual Switch) → 物理WiFi(Intel Dual Band Wireless-AC8265)

外部接続用として2つの仮想スイッチを作成していました。LANポートに LAN ケーブルを接続すると、上の vEthernet(Hyper-V Virtual Switch) が使用されます。この時ホストOSからのインターネット接続が不調になります。LANケーブルを抜いて WiFi 接続すると、下の vEthernet(Hyper-V Wireless Virtual Switch)  が使用されます。この時ホストOSからのインターネット接続に問題は発生しません。では、LANポート接続とWiFi接続の違いは何か?それは「ネットワークブリッジ」を使うかどうかのようです。WiFi接続の場合は「ネットワークブリッジ」が有効になるようです。試しにLANポートの場合も使用するように設定してみましたが問題は解消しませんでした。それどころか色々とやっているうち全く接続できなくなってしまって、Hyper-V を削除して再設定する羽目に陥ってしまいました。

 どうすればいいのだろうと煮詰まった時、「仮想スイッチマネージャー」の画面を眺めていてふと気づきました。下に何か書いてあります。

「[既定のネットワーク]スイッチにより、仮想マシンは自動的にNAT(ネットワークアドレス変換)を使ってコンピューターのネットワークにアクセスできるようになります。」

 お?ということは、物理NICに仮想スイッチを紐付けなくても、ゲストOSは「既定のスイッチ」がNATとして働いて普通にネットワークが使えるってことですよね。ならばと、物理LANポートに紐付けている vEthernet(Hyper-V Virtual Switch) を削除してみました。LANケーブルを接続してみるとホストOSからのインターネットアクセスは復旧しました。「4.Hyper-V の機能を削除した状態では、LANポート、WiFi ともに問題なくインターネット接続できる。」と同じ状態なので当たり前です。

 この状態で、ゲストOSのネットワークアダプターの仮想スイッチを「既定のスイッチ」に設定し、

 ゲストOSからインターネット接続を確認したところ問題ありませんでした。ひとまずこれでノートパソコンから使うにあたって実用上は問題なくなりました。しかしながら問題・疑問が残ります。

  1. LANポート接続の場合、ゲストOSが同一ネットワーク内に存在しないので外部からリモートデスクトップ接続ができない。(ただしWiFi接続の場合は、vEthernet(Hyper-V Wireless Virtual Switch) を残しているで、ゲストOSのネットワークアダプターの仮想スイッチを「Hyper-V Wireless Virtual Switch」に設定すれば外部から接続できる。)
  2. なぜ、LANポート接続の場合にホストOSからのインターネット接続が不調になるのか?WiFi接続との違いは何なのか?
  3. もしかしたら、LANポート接続の場合のインターネット接続の不調は Update前から存在していたのに気づかなかっただけなのではないか?

 仕様なのか?バグなのか?それとも Intel の NIC の問題なのか?謎は残ったままです。。。

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